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元なでしこジャパン 難病で引退した松原有沙選手がフットサルと出会い得られた希望と変化、仲間との距離感【前編】


日本トリムPresents 第17回全国女子選抜フットサル大会(トリムカップ2025)でプレーする松原有沙選手

 

-トリムカップ2025が再び繋いだ仲間との絆-

北海道選抜でプレーした一人の選手を通してフットサルの素晴らしさと選抜フットサル大会の面白さを再認識することができた。
その選手の名は松原有沙選手。札幌市のフットサルチーム・Safilva BONITA(サフィルヴァ・ボニータ)でプレーしている。

 

フットサルには選抜チームで戦う全国大会がある

日本トリムPresents 第17回全国女子選抜フットサル大会(トリムカップ2025)が、2025年11月28日(金)から30日(日)まで京王アリーナTOKYO(武蔵野の森総合スポーツプラザ)で開催された。
都道府県フットサル連盟の選抜チームが日本一を目指す全国大会だ。
北海道選抜は無敗で全試合を終えた。
北海道選抜は1勝2分0敗と無敗でグループAの全試合を終えた。キャプテンを務めた松原選手は大会を振り返る。
「大きなアリーナでプレーしたことがなかったので久々にワクワクしました。
結果に結びつけば最高でしたけど……。北海道以外のチームと試合をできる貴重な機会だったと思います」
惜しくも勝ち点が1つ及ばず決勝ラウンドに進むことができなかった。
「敗退して気持ちを引きずる感覚を味わったのは久しぶり。トリムカップ2025が終わった後に『振り返り』を監督に送らなければいけなかったのですが……『いや、今は振り返れないわ』みたいな気分。送るまでに1週間くらい時間がかかりました。」
松原選手は、すっかりフットサルに魅了されていた。
「サッカーとフットサルでは試合の緊張感が全然違いますね。フットサルの方がめちゃめちゃ緊張します。
人数が少ないので自分のミスが失点に直結してしまうからです。
でも、自分が上手く攻撃参加できれば得点に繫がる。攻撃と守備が表裏一体で面白いです。」

フィクソのポジションで奮闘する松原有沙選手

 

交流も選抜フットサル大会の魅力

日本トリムPresents 第17回全国女子選抜フットサル大会(トリムカップ2025)は
大会初日の夜にレセプション(交流会)を開催する。
選抜フットサル大会らしさ溢れる恒例イベントとなっており、これを楽しみにしている選手、指導者、関係者も多い。
松原選手は北海道選抜を代表してスピーチした。
「自分は、フットサルを始めて半年です。」


レセプション(交流会)でスピーチする松原有沙選手

キャプテンによる予想外の告白に会場内がざわついた。多くの出席者が松原選手の経歴を知らなかったからだ。
詳しい経緯は割愛したが、サッカーからの転向という新たな挑戦について話した。
一方、スピーチをする前から松原選手に声をかける人たちもいた。
かつて、サッカーのフィールドで一緒にボールを追いかけた仲間たちだ。
松原選手は、サッカー引退後に実家の札幌へ転居したので、こうした再会をとても楽しみにしていた。
「自分の年代にもフットサルへ転向した人が多いということを知っていました。事前に出場メンバーを調べたら
『この子もいる、あの子もいる』……めちゃめちゃ嬉しかったですね。
自分のレベルではFリーグでプレーするのはちょっと厳しいけれど、
全国大会に出場することができて懐かしい顔と再会することができた。
選抜大会は、いろいろなチームの選手に全国の舞台を踏める可能性がある。それが良いところだと思います。」

 


日本トリムPresents 第17回全国女子選抜フットサル大会(トリムカップ2025)で再会した
田中沙樹選手(左:東京都選抜/小学生時代に一緒にプレー)
上津原千賀選手(中央右:東京都選抜/大学生時代に一緒にプレー)
鈴木千尋選手(右:静岡県選抜/大学生時代に一緒にプレー、なでしこリーグ、WEリーグで対戦)

 

試合会場のスタンドには、サッカー選手時代に応援してくれたファン・サポーター、引退後にアカデミー(育成組織)で指導した教え子も応援に来てくれた。それも嬉しかった。
「サッカーとフットサルは違う競技だけれど、足でボールを扱うのは同じ。切り離せない関係だと思います」
松原選手は「ボールが人を繋げてくれた」ような感覚になっていた。
「選抜チームで全国大会に出場したからですかね。
単独チームで全国大会に出場していたら、少し違った受け止め方をしていたかもしれません」

 

フットサルでの競技復帰を喜ぶかつてのチームメイト

松原選手は2019年と2020年になでしこジャパン(日本女子代表)に選出された女子プロサッカー選手だった。
早稲田大卒業後、2018年からノジマステラ神奈川相模原でプレー。 WEリーグが開幕する2021年春から2季連続でキャプテン。
しかし、2022-23シーズンをもって引退している。
平野優花選手(VfBシュトゥットガルト/ドイツ)は、かつてのチームメイトの競技復帰を喜んでいる。
「マツが苦しかった時期をよく知っているので、競技は違えど、また選手として戻ってきてくれて嬉しく思います。
苦しみを乗り越えて頑張っている姿、そしてマツの笑顔を見ると、自分自身も力をもらえますね。
とにかくフットサルを楽しんでほしいです。」

 

 


ノジマステラ神奈川相模原で一緒にプレーしていた松原有沙選手(左)と平野優花選手(右)
写真提供:ノジマステラ神奈川相模原

日本トリムPresents 第17回全国女子選抜フットサル大会(トリムカップ2025)の大会日程は3日間。
しかし、決勝ラウンド進出を逃したチームは3日目に試合がない。
ところが松原選手は会場に現れた。お世話になった人たちに丁寧に挨拶したのち、スタンドで試合を見つめていた。

 

大きな意味のある大会に

約1年前、松原選手は外出するだけでも体調が悪くなってしまうほどの症状を抱えていた。
今はフットサルが楽しくてたまらない。
日本トリムPresents 第17回全国女子選抜フットサル大会(トリムカップ2025)は松原選手と彼女に関わる人たちにとって、
とても大きな意味のある大会となった。ここに至るまで、大変な苦労があったからだ。

 

(後編につづく)

 

取材・執筆 石井和裕